澄川喜一 そりとむくり
2020年2月15日(土)~5月24日(日)
戦後の抽象彫刻のパイオニアであり、東京スカイツリー(R)のデザイン監修など公共のプロジェクトを含む多彩な創作活動を行ってきた澄川喜一。最新作を含む約110点の作品と資料により、60年以上に及ぶ創作活動の全貌を紹介する決定版。
<目次>
プロローグ:はじまりとしての錦帯橋
I. いしずえ:具象をきわめる
II. 深まり:素材と向き合う
III. ひろがり:公共空間を活かす
IV. 匠:そりとむくり
■展覧会概要
本展は、戦後日本の抽象彫刻を牽引してきた澄川喜一(すみかわ・きいち/1931年生まれ)の、首都圏の公立美術館で開催される初の大規模個展です。最新作を含む約100点の作品・資料によって、60有余年におよぶ澄川の創作活動の全貌を、あらためて回顧します。
彫刻家をこころざして東京藝術大学に進学した澄川は、塑造(そぞう)を中心とする具象表現の基礎を徹底的に学びました。彫刻専攻科を修了後は藝大で教職につきながら数々の作品を発表、やがて、木や石などの自然素材に対する深い洞察をへて、日本固有の造形美と深く共鳴する抽象彫刻「そりのあるかたち」シリーズに展開します。このテーマは、今なお追究し続ける澄川のライフワークとなっています。
一方で、公共空間における造形の分野でも精力的に作品を発表していきます。東京湾アクアライン川崎人工島「風の塔」や東京スカイツリー®のデザイン監修など、都市の巨大構造物に関わる多彩な仕事でも注目されました。横浜市内においても野外彫刻や多くの公共造形物を手がけ、2013年には横浜文化賞を受賞、横浜市や郷里をはじめとして日本各地で文化貢献に尽くしてきました。
具象彫刻にはじまり、やがて先鋭な抽象彫刻に転じつつ、巨大な野外彫刻や建築分野との協働へと創作の領域をひろげる澄川喜一の決定版ともいえる展覧会です。
千年を越す法隆寺など歴史に残る木造建築は、棟梁が山の木を見て、
山の南側で育った木は建物の南側に、北側で育った木は北側に使ったと言われています。
木は生きているのです。
木の声を聞きながら「そりのあるかたち」を削り出したいと思っています。
澄川 喜一
https://yokohama.art.museum/exhibition/202002_sumikawakiichi/
■仕様
B5変形 約190×255×17mm 212ページ