横浜発 おもしろい画家: 中島清之―日本画の迷宮
NAKAJIMA KYOSHI RETROSPECTIVE
2015年 11月3日(火・祝)~2016年1月11日(月・祝)
日記、スケッチも含めた180点の図版より構成され、厚さ2cmのボリュームある1冊です。収録作品は大半が「紙本着色」の日本画の手法で描かれたにもかかわらず、それを知らずにページをめくると洋画と思えるような大胆な色使いや題材があったり、一方で繊細な筆致の作品を見ることができ、中島清之の多彩な作風が感じられます。図録を眺めているだけでも音が聞こえてくるような生き生きとした作品を是非展覧会でご覧になり、今展のテーマでもある「日本画の迷宮」の奥深さを感じてください。なお、本図録には神奈川新聞にて連載された自らの半生を綴った「わが人生」も収録されています。
■展覧会概要
大正・昭和の激動の時代。
進取の気風あふれる街・横浜に生き、 型に嵌(はま)らない、しなやかな感性で、
「日本画」に挑み続けた画家がいた――。
中島清之(なかじま・きよし)という画家を知っていますか。その名を知る人々も、思い浮かぶ作品は、実に様々かもしれません。豊かな才気と旺盛な好奇心に満ち、常に新しい様式と手法に挑戦し続けた清之は、一見同じ画家とは思われないほど多彩な作品世界を展開し、「変転の画家」と評されました。
清之は、京都での少年期から培われた仏教美術への知識と共感、そして安雅堂画塾(あんがどうがじゅく)での古画研究で得た卓越した筆技を有しながら、清新な花鳥画から大胆にデフォルメされた人物画、幾何学的な抽象表現まで、周囲を驚かすほど様々な作風を示し、日本画の可能性を追求しました。自由奔放で、時にユーモアやアイロニーに満ちた多様な作品群は、中島清之という作家像を絞り込もうとする鑑賞者を惑わせ、まるで「迷宮」に誘い込むかのような魅力を備えています。
本展では、青年期から最晩年に至る清之の画業をたどり、主題や技法への関心のありようとその変遷を探ります。さらに下図やスケッチも紹介し、画面構成上の工夫を考察します。大正から戦前・戦後の昭和という、社会や価値観が大きく変容する時代の中で、一見激しい作風の変化を示しながら、清之が生涯にわたって貫いた思想や美意識はどういったものであったのか、編年的な構成により掘り下げていきます。
https://yokohama.art.museum/exhibition/201511_nakajimakiyoshi/
■仕様
A4変形 約298×221×20mm 208ページ